「リトルリーグ肘」とも呼ばれ、球技などの投球動作で肘を酷使することで生じる肘の障害の総称で、様々な病態があります。
骨の成長が不十分な10~12歳の成長期に好発し、その名の通り、特に野球の投手歴のある子に多く見られます。
そして、成長期にみられる野球肘はほとんどが骨軟骨障害で、内側型・外側型・後方型に分類されます。その中でも、内側型が一番多く、狭義では上腕骨の内側上顆に起こる障害のことを野球肘と指します。
野球肘の分類を簡単に下記にまとめました。
- ▶内側型
・上腕骨内側上顆障害
・上腕骨内側上顆裂離骨折
・上腕骨内側上顆骨端線離開
・内側側副靭帯損傷
・尺骨神経障害 など
- ▶外側型
・上腕骨小頭骨折
・上腕骨小頭離断性骨軟骨炎
・滑膜ヒダ障害 など
- ▶後方型
・肘頭骨端線離開
・肘頭疲労骨折
・肘頭の骨棘
・肘関節後方のインピンジメント
- ▶その他
・関節ねずみ(関節内に骨や軟骨のかけらが挟まっている状態)
・胸郭出口症候群
野球肘は内側には牽引ストレス、外側・後方に圧迫ストレスが加わり続けることにより発症します。
特に、投球相ではレイトコッキング期~加速期の間で肘関節外反ストレスと腕橈関節の回旋ストレスが最大になります。そこでフォームが崩れていると、肘や肩にかかる負担が増え投球障害を招く危険があるため注意が必要です。
また、内側型より頻度は少ないものの、外側型の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は注意が必要です。なぜなら、症状が進行すると手術になる可能性が高く、将来的に関節が変形し可動域制限などの酷い後遺症が残ってしまう場合があるからです。
野球肘の初期であれば1~2か月の休息で症状が改善することがほとんどです。しかし、無理に投球を続け症状が進行すると約4~6か月程度、場合によっては年単位での投球禁止が必要になってしまいます。
もし、ボールを投げたりした際に肘周辺に違和感を覚えるのであれば、思い切ってしばらくの間は投球を休止し、早期に発見し治療していくことが大切です。